6.気管切開・カニューレが腕頭動脈と接触して出血の心配?

2008/02/21 (木) 18:15 | 質問に対する回答

気管切開している場合にカニューレが動くことで腕頭動脈と接触?して出血の心配があるということでしたが、体位変換する場合に、そういう事故が起きる心配があるということでしょうか?

<答>
 気管と腕頭動脈との間に穴があいて、大出血を起こし命に関わることがあり、その穴を「気管腕頭動脈ろう」と言います。なかなか予測は難しいのですが、胸や背骨が変形している人に多く、腕頭動脈と気管と気管カニューレとが、胸骨と背骨にはさまれて、押し付けられるような状態が続くことで生じると考えてよいだろうと思います。
 完全に予防するのは難しいのですが、気管内吸引で出血がある場合には気管支内視鏡(ファイバー)で気管に傷がないか確認するとか、ファイバーの確認を定期的に行うとか、造影CTやMRIなどの検査で血管と気管の位置関係を調べるとか、変形が強い人の場合に予防的手術をするとか、などの方法が試みられています。
 一回の体位変換でこれが起きることは、まずないと思います。仮に体位変換のときに大出血したとすれば、それまでに「気管腕頭動脈ろう」がつくられていて、最後の薄い膜がたまたま体位変換のときにやぶれた、と考えてよいと思います。ただし、体位変換のときに気管カニューレに強い力が加わることは、気管に傷がつく可能性もありますし、何より苦しく痛いので、注意をしてください。頭が前にガクンと落ちて、あごがカニューレにぶち当たるようなことはないように。
                  京都民医連中央病院小児科 出島 直

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